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2025.05.15

2025年の建築基準法改正とは?変更点をわかりやすく解説します

2025年4月に建築基準法が改正されました。今回の改正ではいわゆる「4号特例の縮小」や「省エネ基準適合義務化」などが改正のポイントです。本記事では、2025年建築基準法の改正について、ポイントやリフォームへの影響を解説します。

2025年建築基準法改正の背景


今回の建築基準法の改正には、地球温暖化への対策が背景にあり「省エネ対策」「木造化の促進」「耐震基準の強化」を主な目的としています。カーボンニュートラルの推進や自然災害に強い建物の整備が求められるなか、従来の基準では対応しきれない課題を解決するための改正となっています。

*省エネ対策
近年、地球温暖化やエネルギー消費の問題が深刻化しており、建築物の省エネ性能向上が強く求められています。そのため、2025年の改正では、住宅や非住宅建築物の省エネ基準適合が義務化されます。

これまでは、延べ床面積300㎡未満の小規模建築物は省エネ基準の適用外とされていました。しかし、改正後は小規模な建築物でも省エネ基準の適合が必須となり、断熱性能や設備のエネルギー効率などを満たす必要があります。

そのため、リフォームにおいては、既存住宅の断熱改修や高効率設備の導入が推奨される見通しです。

2025年建築基準法改正の重要なポイント


次に、リフォームをする際に知っておきたい重要な変更のポイントをピックアップして解説します。

*4号特例の縮小
従来では、4号建築物である木造2階建てや平屋などの小規模建築物は、4号特例によって建築確認検査が簡略化されていました。建築確認検査とは、着工前に建築物が建築基準法に適しているか判断する行政による検査です。

しかし、改正により4号建築物は新2号建築物と新3号建築物に分類されることになります。

・新2号建築物:木造二階建てもしくは木造平屋建てかつ延床面積200㎡超
・新3号建築物:木造平屋建てかつ延床面積200㎡以下

建築基準法改正に伴い導入される「新2号建築物」については、所在地に関わらず、すべてのケースで建築確認及び完了検査の手続きが必須となります。従来の特定行政庁が指定する区域外における審査省略制度(4号特例における一部図書の省略など)は、この新2号建築物には適用されません。

そのため、建築確認申請の際には、従来の申請書類や図面に加え、構造計算に関する書類や省エネルギー基準への適合を示す書類の提出も求められるようになります。一方、「新3号建築物」に関しては、これまでの4号建築物と同様の扱いとなり、いわゆる「4号特例」による建築確認や検査手続きの簡略化が引き続き適用されます。

*構造・省エネ図書提出の必要性
建築基準法の改正と同時に、建築物省エネ法の改正もおこなわれます。こちらの省エネ基準適合義務化に伴い、建築確認の際に省エネに関する図書の提出が求められるようになります。具体的には、断熱材の性能や設備機器のエネルギー消費量などを記載した省エネ計算書の提出が必須となります。

2025建築基準法改正がリフォームに及ぼす影響


ここでは、実際にリフォームをする際に感じる、建築基準法改正の影響を解説します。

【デメリット】
*建築確認申請の手間が増える可能性がある
今回の改正で4号特例が縮小されることにより、従来は申請不要だった小規模な木造建築の改修でも、建築確認申請が必要になるケースが増えます。

たとえばこれらのリフォームをおこなう場合、新たな基準に適合していることを証明する書類を提出しなければなりません。

・階段の位置や段数の変更を目的としたかけ替え
・壁を撤去する間取り変更
・増築による床面積の拡大
・耐震補強を目的とした構造変更
・屋根のふきかえ※カバー工法による改修は含みません
・大規模な外壁の改修工事

リフォームの計画段階から設計事務所や工務店との調整が必要になり、申請にかかる期間も長くなるでしょう。

*リフォーム費用が増える可能性がある
改正後に、建築確認申請が必要になるとリフォーム費用が増える可能性があります。具体的には、図面がない建物の場合は天井や壁の構造を確認するために追加工事が必要となります。また、改正後の建築基準に適合しない建物については、適合するように追加工事をおこなわなければいけません。

【メリット】
*省エネ性能向上による費用削減
一方で、省エネ基準適合が義務化されることで、良い影響もあります。住宅の省エネ性能が向上することで、長期的には光熱費の削減につながる可能性があります。

高断熱窓や断熱材の強化による冷暖房費の削減などを実現することで、エネルギー消費量が抑えられ電気代やガス代の節約につながります。

*耐震性向上により得られる安心感
改正により、耐震基準の強化も進められるため、リフォームの際に耐震補強が求められるケースが増えます。とくに1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物では、新耐震基準に適合するよう補強工事が必要になる可能性が高いといえます。

耐震補強には費用がかかりますが、地震による倒壊リスクを軽減させ、いざというときでも安全性の高い建物にすることが可能です。

まとめ


2025年の建築基準法改正により、リフォームにも大きな影響が出ることが予想されます。リフォームを検討している方は、変更点を押さえ計画的に進めるようにしましょう。法改正のリフォームへの影響についてさらに詳しく知りたい方や、お悩みをお持ちの方は当社までお気軽にご相談ください。