渋沢栄一翁③

渋沢栄一翁の父親は、渋沢家ぼ分家より婿に入りました。
本家の再興のためです。

渋沢家は農家です。
主な収入源は養蚕と藍です

藍は、藍の生産農家から葉を買取り、藍染の原料となる藍玉に加工して販売をしていました。
農家であり、加工業者であり、販売業者でもありました。
そして、藍玉の加工販売によって大きな収入があり、苗字を名乗ることも帯刀も許されていました。
栄一翁の父は、渋沢の家を再興し、いわゆる豪農へと成長させました。

金銭的には裕福になったものの、もともとの倹約質素な性格は変わらず、
後年、大蔵省の役人として出世した栄一に会いに、東京の渋沢の家を訪ねたとき、
寝室に敷かれた新しい布団を見て、これは農家の人間が寝る布団ではないと怒り出して家を出て行ってしまったエピソードがあります。

それほどまでに、分際をわきまえ下座に生きる人でした。
よほどの信念がなければ、このような行動はできません。

両親の芯の太さや信念を曲げないあり方こそが、渋沢栄一翁の人としての原点ではないでしょうか